正社員のリストラ、派遣切り、新卒者の内定取消、企業の相次ぐ倒産を加速させた世界的な不況で、職を失う人が急増しました。
何とか仕事を続けられた人も、会社の業績が上がらないのでは、給料は下降する一方です。利益を確保したい企業は、人件費を縮小する対策を実施します。
ベースアップの見送り、残業の原則禁止、ボーナスの大幅カットで、会社員の年収はグンと減ります。
さらにワークシェアリングで出勤時間を減らし、住宅手当も半減させ、休日出勤と出張手当まで廃止すると、会社員の給与明細にはシンプルな基本給だけが残ります。
その基本給の上がり幅にも問題がありました。初めて給料を貰ったときに、「1年で1万円くらいは昇給するだろう」と考えている人もいますが、数年後の基本給は淡い期待を裏切るものです。今までは残業代とボーナスが年収に反映されていて、焦りや不安を実感しなかっただけでした。
懸命に働いていた会社員の中には、残業代がなくなった途端、本当の自分の手取りの金額を見て、愕然とした人もいるでしょう。特に残業過多だった派遣労働者はその傾向が顕著です。
以前から薄々は気付いていて、その可能性が現実味を帯びていることもわかっていました。
「社会人8年目で今年は30歳。結婚もして、子供も生まれたけれど、給料は20万円から24万円になっただけ。手取りでは18万円くらいだと思う。でも、残業代も全部出るし、ボーナスも年間で4ヶ月分も出るから大丈夫。ただ、全てカットされたらかなり厳しいかも」
その一抹の不安が解消されないまま、給料は予想以上に減らされます。
夫は残業がないので家事と育児を手伝い、逆に妻はパートの時間を増やします。支出を減らすために、日常生活ではできる限りの節約を心掛けます。
外食は控えますし、ランチはお弁当にしました。食材が高騰していては夕食のおかず作りも一苦労です。前よりもタバコを吸う人がいないので禁煙はしやすいですが、お酒までもあまり飲まなくなります。
電気・ガス・水道には節約術を駆使します。教育費は切り詰め、医療費は抑制し、保険料はしっかり見直します。ブランド物には興味さえなくなりました。
円高でお得になっても海外旅行ではなく、国内旅行だけにします。場所もなるべく近場で済ませたいです。ガソリンが安いうちは自家用車での移動も可能ですが、いずれはレンタカーになるでしょう。距離があるなら高速バスも検討します。
現時点ではこのように支出さえ減らせば、何とか暮らせるかもしれませんが、マイナスを減らすのには限界があります。節約は効果があっても消極的な対策なのです。
大人になるにつれて、段々と生活水準は上がっていきます。そして、上がった生活水準を元に戻すときには、いろいろな物を失うことになります。事実、住宅ローンの返済が重荷になり、身動きが取れずに持ち家を売却した家庭が急増しました。
一般的には生活水準の上がり幅は、途中でストップしますが、それは結婚したり、子供が増えたり、親の介護を始めたりと支出が増えた結果です。恒久的に収入が増えないままでは、近い将来には困窮した生活を強いられるでしょう。
さらに財政、医療、福祉、教育、少子化、年金、食品などの諸問題を抱えている日本です。所得税と社会保険料の負担増は免れず、消費税増税も待ち構えています。
これではバランスシートの負債額は膨らむばかりですので、何とかして収入を増やしたいです。そこで本業に展望が開けない今だからこそ、副業をスタートさせます。副業をするのは決して間違ったことではなく、将来を見据えた賢い選択です。
賃下げは会社の責任ではない
流動性ある雇用が副業を促進